目次
なぜ今、“逆算”で準備を始めるべきなのか
2027年度から適用される新リース会計基準。
2025年11月時点で、本格適用まで残り約1年半(=約70週間)となりました。
「まだ先の話」と思うかもしれませんが、実務上の準備は想像以上に時間がかかります。
契約情報の抽出や会計方針の決定、システム対応、子会社への展開までを考えると、今から動き出してもギリギリです。
2027年度強制適用とはいつからか?
新基準は「2027年4月1日以後に開始する事業年度」から適用が求められます。
たとえば、3月決算企業であれば2027年4月期が初年度。つまり、2026年度中には本番運用の準備を完了しておく必要があります。
残り期間でやるべきこと
- 契約台帳の整備
- 契約ごとのリース判定(資産計上か、費用処理か)
- 会計方針などの社内ルール整備
- システム選定・導入・運用テスト
これらを後回しにすると、適用直前に大きな混乱を招く可能性があります。今こそ「逆算スケジュール」で動く時期です。
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新リース会計基準の概要と実務インパクト
リースの“オンバランス化”が原則に
これまで多くの企業では、リース契約を「オフバランス(費用処理)」としていました。
しかし新基準では、借手(リース利用者)が「使用権資産」と「リース負債」を貸借対照表に計上します。
つまり、ほとんどのリース契約が資産・負債として認識されるようになります。
対象となる企業
新リース会計基準は、上場企業とその連結子会社・関連会社、会社法の大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上)、会計監査人設置会社が主な対象です。
親会社が上場している場合は、海外子会社を含む連結グループ全体で統一処理が必要です。また、日本基準で連結報告を行う企業では、海外拠点のリース情報も整合性が求められます。
実務への影響
- 財務指標への影響:総資産・負債が増加し、ROAや自己資本比率が変動。
- 業務負荷の増加:契約情報の収集・判定、台帳の維持管理が必要。
- 会計業務負荷の増大:個社・連結含めて、新リース会計基準対応が必要。
- システム対応:リース資産管理システムの導入、会計システム・連結決算システムとの連携が必須。
このように、単なる会計処理変更ではなく「業務改革」に近い取り組みが求められます。
約70週間で間に合わせる!新リース会計基準の移行ロードマップ
以下は、3月決算企業を想定した親会社側の新基準適用スケジュール例です。
各フェーズでの重点タスクを明確にすることで、効率的に準備を進められます。
フェーズ1(〜2025年Q2):現状把握と影響度調査
新リース会計基準対応の第一歩は、現状を正確に把握し、会社としての方針を定めることです。
どの契約がリースに該当するのか、どの部署がどのような契約を持っているのかを明確にしなければ、その後のシステム選定や台帳設計、ルール定義も進みません。
この段階での丁寧な棚卸しと方針整理が、全プロジェクトの基盤になります。
主な目的
- 契約の棚卸とリース対象の特定
- 影響範囲の把握(契約数・金額・拠点別)
- プロジェクト体制の構築
- 会社(グループ)としての会計方針の検討・決定
実務ポイント
- 契約抽出:全社・子会社を含む契約一覧を作成。サービス契約内の“埋込リース”も見逃さない。
- リース判定:上記リスト化した契約について、資産計上が必要となるものを明確化。
- 会計方針の整理:新リース会計基準への詳細な対応方針、移行方針などを検討し、社内方針として文書化。
この段階で契約情報と方針がどれだけ整理できているかが、その後のスケジュールの成否を左右します。
特にグループ全体で判断基準が統一されていないと、後工程のシステム設計やデータ整備で大きな手戻りが発生するため、早期に方向性を固めることが重要です。
フェーズ2(2025年Q3〜2026年Q2):システム選定・導入と新業務プロセスの構築
新リース会計基準適用に向けた“仕組みづくり”の中心がこのフェーズです。
本社だけでなく、国内子会社、海外子会社も含めたシステム選定・導入、業務プロセスの構築が、新リース会計基準の安定運用、省力化・効率化を支える重要なプロセスになります。
主な目的
- 契約洗い出しにより明確化されたリース資産件数、対応が必要なグループ企業数、海外拠点の対応必要性をふまえた、適切なシステムの選定・導入
- 導入するシステムをベースとした、リース契約締結・更新から、個社決算、連結決算にいたる業務プロセスの定義
実務ポイント
- システム選定:
・本社・国内子会社・海外子会社までを前提に選定
・外貨建て管理、連結調整仕訳の自動出力可否を確認
・支払条件・変動リース料・フリーレント等、自社契約の型に対応できるかをチェック - 業務プロセス定義:
・新規契約/条件変更/月次仕訳/連結調整までの流れを5W1Hで確定
この時期は最も時間を要するフェーズです。
経理部門、総務部門、海外業務統括部門、情報システム部門など関係する全ての部門が緊密な連携をとりながらプロジェクトをすすめることが、成功の鍵になります。
フェーズ3(2026年Q3〜Q4):トライアル決算と監査準備
新基準での運用体制が整ったら、本番前に「試運転」を行う段階です。
模擬決算を通して仕訳や注記、開示の不具合を洗い出し、監査人との確認を進めます。このフェーズでの検証が、初年度の混乱を防ぐ最大のポイントになります。
主な目的
- 模擬決算による本番検証
- 開示・注記・監査対応のリハーサル
実務ポイント
- 模擬決算実施:新基準での仕訳を試算。注記ドラフトを作成。
- 連結パッケージ改訂:リース関連情報の収集方法を見直す。
- 監査対応準備:監査人との確認事項リストを事前に作成、合意形成。
トライアル決算は“本番のリハーサル”です。このタイミングでエラーや不整合を洗い出せるかが重要です。
フェーズ4(2027年度):本番運用と定着化
いよいよ新リース会計基準が実際に適用されるフェーズです。
初年度は不明点や想定外のケースが発生しやすいため、運用を定期的に見直しながら体制を固めていくことが大切です。定着期こそ、改善と教育の継続が成果を左右します。
主な目的
- 新基準の定常運用
- 継続的な改善・監査対応
実務ポイント
- 初年度本番運用:システムベンダーや会計士のサポートを受け、正確な会計処理を実施。
- 教育・レビュー:社内研修を継続し、担当者間で知識を共有。
- モニタリング:各リース契約のマスターへの登録、会計処理の妥当性をチェック。
初年度はトラブルが発生しやすいため、「振り返りと改善」を前提にした体制づくりが大切です。
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よくある落とし穴とその回避策
1. Excel管理でなんとかしようとする
対策:Excelは初期整理には便利ですが、契約変更や再測定が発生する段階になると限界がきます。複数拠点・子会社を含む場合、バージョン管理や履歴追跡が困難になり、内部統制上のリスクにもなります。
フェーズ2の終盤(2026年前半)までには、リース台帳管理・仕訳計上を自動化できる専用システムへ移行方針を決めましょう。後述するmultibookのように、日本本社、国内拠点だけでなく、海外拠点も対応可能かつ、複雑なリース契約に対応したソフトを導入しておくと安心です。
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併せて読みたい:新リース会計基準対応におけるExcel管理の課題とシステム化による解決策|当社事例の分析
2. 子会社への展開を遅らせる/子会社任せにする
対策:本社だけでなく国内・海外の全拠点を対象にプロジェクトを設計しましょう。連結決算で正確な財務情報を作成するには、子会社任せにせず方針・台帳・システムをグループ共通化することが不可欠です。
今すぐ始めるべき3つのアクション
- 契約情報を整理する
→ 契約書・請求書・台帳を集約。抜け漏れをなくす。 - システム対応を決める
→ 手作業で乗り切れない範囲を明確化し、契約管理やリース資産管理のツール導入を検討。 - 社内体制を整える
→ 経理・情報システム・法務・現場などの各部門を巻き込んだプロジェクトチームを組成。
今すぐ行動を始めれば、2027年度の本格適用に十分間に合います。“逆算スケジュール”を意識して、着実に前進しましょう。
新リース会計基準への対応に役立つ便利なツール・サービスの紹介
新リース会計基準の導入に向けて、多くの企業で課題となっているのが「複雑な契約の管理」と「グループ全体での情報統一」です。
契約内容の多様化、海外子会社の存在、リース料や割引率の変動など、Excelでの対応には限界があります。
こうした背景から、リース契約を自動で判定・計算し、グローバルに一元管理できるシステムの導入が不可欠となっています。
ここでは、これらの課題をワンストップで解決するmultibookのリース資産管理ソリューションをご紹介します。
国内外の拠点を持つ企業でも、短期間でスムーズに新リース基準対応を実現できる点が特長です。
リース管理の効率化をサポートするmultibookのリース資産管理システム
multibookのリース資産管理システムは、複雑なリース契約を自動で処理し、国内外のリース資産を一元管理できるクラウドソリューションです。
主な特長
- あらゆる複雑な契約形態に対応
短期・少額リース、フリーレント、前払・後払、条件変更、中途解約など、実務で発生するあらゆるケースを網羅。 - 会計処理を自動化
リース期間や割引率の判定、使用権資産・リース負債の計算、月次償却・返済額の算出までを自動で実行。 - 海外拠点を含むグループ一元管理
本社・子会社・海外拠点の契約情報をリアルタイムで共有。ローカル基準と日本基準/IFRSなど異なる会計処理にも対応。 - 連結修正仕訳を自動出力
グループ全体のリース取引を統合し、連結レポート作成の負担を軽減。
導入・運用のしやすさ
- 短期導入が可能(最短2週間)
クラウドベースのため、環境構築やカスタマイズ工数を最小化。 - 既存システムとの高い親和性
既存の会計システムと仕訳連携でき、単独モジュールとしても導入可能。 - リーズナブルなコストで運用
グローバル展開を支える機能を備えつつ、導入・運用コストを抑制。
期待できる導入効果
- 契約件数の多い企業や海外子会社を含むグループでも、契約〜仕訳〜開示までを自動化。
- 手作業やExcel管理から脱却し、決算・監査・開示対応のスピードと精度を両立。
- 規模や契約数を問わず、段階的に導入・拡張が可能。
新リース会計基準の適用に向けて、契約管理の精度とスピードはこれまで以上に求められます。multibookのリース資産管理システムは、複雑な契約も、海外拠点を含むグループ管理も、すべてを自動化・可視化するための実践的なツールです。
「新リース会計基準対応の負担を減らしながら、確実に間に合わせたい」──そんな企業の強い味方として、貴社の新リース会計対応を力強くサポートします。
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新リース会計基準の適用準備では、「どこから着手すべきか」「判断が難しい論点が多い」と感じる企業が少なくありません。マルチブックは、提携する会計事務所パートナーと連携し、そうした課題に気軽に相談できる「よろず相談」形式のアドバイザリーサービスを提供しています。
サービス概要
- リース期間・割引率・リース判定・グループ会社や海外拠点への方針展開の進め方など、実務で迷いやすい論点に専門家が丁寧にアドバイス。
- 初期段階の方針整理から適用直前の確認まで、幅広くサポートします。
- 貴社の契約状況や体制に合わせて、次に取るべきアクションを具体的に整理します。
メリット
- 初期段階から専門家に相談できる安心感
- 判断の精度を高め、社内検討の手戻りを防止
- 契約洗い出しやシステム導入など、後続フェーズへスムーズに連携
「よろず相談」サービスは、新リース会計基準対応の第一歩を踏み出すための伴走型サポートです。
“何から始めればいいか”という段階からでも、専門家とともに最適な進め方を整理できるため、社内検討を効率的かつ確実に進められます。課題を抱える前に、まずは相談から──それが、2027年度本格適用への確実なスタートになります。
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最後に:2027年度本格適用へ、今こそ“逆算準備”を
新リース会計基準への対応は、単なる会計処理の変更ではなく、グループ全体のデータ整備・システム構築・業務統一まで含む大規模なプロジェクトです。
2027年度の本格適用まで、残された時間はわずか。今から「逆算」で準備を始めることで、混乱なくスムーズに移行することができます。
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