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フィリピンで、会計システムを利用するために必要なCAS、CBAの制度と申請・承認事例

会計

記事更新日:2024/12/23

フィリピンで、会計システムを利用するために必要なCAS、CBAの制度と申請・承認事例

はじめに

フィリピンでは、企業が会計システムを利用する場合、当局の承認が必要です。このような承認制度は他の国では行われていないため、この制度を知らずに、会計システムをご利用されている企業もいらっしゃるかもしれませんが、罰則対象になりますので、注意が必要です。この承認制度について、従来は、BIRから事前に使用許可 (PTU-Permit to Use) を取得する際に、申請を行っても、審査まで1年以上待たされ、審査を受けることができたとしても、その要件が不明瞭で、審査をパスすることが難しい状況が数年以上続いていました。この承認制度について、2021年に見直され、要件は明確になり、申請後すぐに審査が行われるようになりました。この記事では、新しくなった会計システム利用の承認制度(CAS/CBA)について、事例もふまえて解説します。

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フィリピンの会計帳簿に関するルール

マニュアル(手書き)会計帳簿(Manual Books of Accounts)

フィリピンでは、手書きの会計帳簿が基本です。ルーズリーフ会計帳簿やコンピュータ会計帳簿の申請・承認を得るまでは、手書きの会計帳簿で対応する必要があります。

ルーズリーフ会計帳簿(Loose-Leaf Books of Accounts)

エクセルなどの表計算ソフトで管理している帳簿を紙に印刷してBIR に提出する方法ですが、申請・承認手続きが必要です。この方式については、以前より、比較的簡単に承認を得ることが可能です。ただし、年度終了後の会計帳簿提出期限が、コンピュータ会計帳簿利用時と比較して、15日早くなります。

コンピュータ会計帳簿(CBA:Computerized Books of AccountsまたはCAS:Computerized Accounting System)

CASが有名ですが、CASよりもシステム利用の範囲が会計帳簿に限られるCBA(Computerized Books of Accounts:コンピューター会計帳簿 )を申請する方法もあります。CASは、Invoiceや源泉徴収税フォーマット等の要件も含まれていますが、CBAは会計帳簿のみをターゲットにしています。コンピュータ会計帳簿(CASあるいはCBA)を適用するためには、会計システムが、RMC No. 5-2021 Annex Bに掲載されている要件に対応している必要があり、会計システムの開発ベンダーではなく、当該会計システムを利用するユーザー企業が、BIRに申請を行い、承認を得る必要があります。

CBAの申請、承認事例

2024年11月、multibookを会計システムとしてご利用頂く予定の会社様が、CBAの申請を行い、BIRから承認されました。申請から承認までのステップは以下のとおりです。申請から承認まで、おおよそ3ヵ月の期間を要しました。

  1. 申請書類の作成&BIRへの申請
  2. 申請書類に対するBIRからのコメント(指摘)
  3. BIR指摘に対して、修正を行い(multibook機能の改善発含む)書類の再提出
  4. BIRが申請書類を正式に受理
  5. BIRが企業を訪問、システムのデモンストレーションを確認
  6. 承認
CAS /CBA申請書「Annex B – Standard Functional And Technical Requirements 」類抜粋(参照元はこちら

なお、当社ではCBA/CAS申請にあたり、支援サービスも提供しております。申請プロセスでは、BIRとの度重なるやり取りが発生することがあり、根気強い対応が必要となります。当社の経験とノウハウを活かし、スムーズな申請プロセスをサポートいたします。

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multibookのフィリピン要件対応

multibookは上述のとおり、コンピュータ会計帳簿:CBAの承認実績を保有していますが、さらにCASで必要とされる請求書、源泉徴収税のフォームについても、BIRが定義している要件に対応しています。また、業務運用上必要となる源泉徴収税やVATの申告データ作成機能も保持しています。さらに、フィリピンの日系会計事務所 NIHONKEIEI(PHILIPPINES) INC.(日本経営グループ)とパートナー契約を締結し、フィリピン最新の会計、税務要件をフォローしています。

まとめ

コンピュータ会計帳簿の申請・申請に伴う対応工数は必要となりますが、会計業務の効率化、内部統制強化、そして適正な会計・税務処理が行われているかをチェックするためにも、会計システムの活用は、非常に有用と考えます。CBA/CAS申請においては、必要書類の準備や当局とのやり取りなど、様々な対応が必要となりますが、当社の申請支援サービスをご活用いただくことで、スムーズな導入が可能です。

マルチブックでは、グローバルクラウドERP:multibookだけでなく、フィリピンの経理業務を代行(BPO)するサービスも提供させて頂いています。フィリピン拠点の会計、システム、CAS/CBA、経理業務に課題をお持ちでしたら、お気軽にご相談下さい。

<参考>
フィリピン税務局(BIR)公式サイト

この記事を書いた人

マルチブック編集部

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