タイの会計事務所とmultibookがタッグを組み、タイ企業の決算早期化を実現。現地の経理スタッフを育成し、自社で経理を完結できる体制づくりをサポート
日本に本社を構える、みつき税理士法人/みつきコンサルティング株式会社のタイ現地法人であるMiTSUKi Accounting (Thailand) Co., Ltd.。記帳代行をはじめとして、コンサルティング、法人税申告や就業許可取得のサポート、株主・取締役変更手続きなどの付随業務、M&Aまで幅広いサービスを提供しています。
同社はマルチブックと提携し、タイにてmultibookを活用する企業様の支援も行っています。導入企業をどのようにサポートし、どんな成果を出されているのか。また、multibookとの協業に、どのようなビジョンを描いているのか――。MiTSUKi Accounting (Thailand) Co., Ltd.代表の清水健司様にお話を伺いました。
本記事のサマリー
・タイに進出する日系企業が直面するよくある経理課題
経理業務を熟知した人材が少ない、という悩みを抱えるタイ進出の日系企業が多い。現地の経理スタッフ確保が難しいのはもちろんのこと、日本から出向いた管理職も営業や生産現場出身の人材が多い為、経理業務の体制構築やマネジメントが不十分なまま現地の運営をスタート。そのような状況で不明瞭な役割分担や精度の低い日々の記帳によって、決算が遅延するケースが多くみられる。
・MiTSUKi Accounting (Thailand) Co., Ltd.様がmultibookを通してサポートできること
「経理人材が不足しており、まずは記帳代行から依頼したい」という段階の企業様から、「今は記帳代行を依頼しているが、ゆくゆくは経理業務を内製化したい」、更に進んで「経理業務を自走できるようになったので、次は会計データを経営に活用していきたい」といった企業様まで現地で幅広くサポートできるのが特徴。多言語多通貨対応で、リアルタイムに拠点の財務情報を日本本社と共有が可能なmutlbookを通して日本本社・タイ拠点両方の経理業務を支援する。
タイでは経理人材が慢性的に不足
月次決算が2~3カ月遅れる事態に
―― 貴社の事業内容や強みについて教えてください。
当社は2013年4月に、みつき税理士法人/みつきコンサルティング株式会社のタイ現地法人として設立された企業です。主な業務は記帳代行・経理サポートになります。タイに常駐している日本人会計士が、月次・四半期・年次決算の支援や財務諸表作成といった経理・税務申告全般をサポートしています。
また、経理に限らず、タイでの起業や進出、監査など企業経営における幅広い支援を手がけているのも、当社の特徴です。母体が税理士法人とコンサルティング企業である強みを活かして、法人登記から株主変更、取締役変更、就労許可、ワークパーミットの取得サポートにいたるまで、タイ企業でのお困りごとに、細やかに対応しております。日本に本社があり、日本とタイの両面から支援できることも独自性の一つとなっています。
―― 貴社では、タイの現地法人でmultibookを導入している企業の支援もされています。具体的にはどのようなサポートをされているのでしょうか。
タイ企業でよく見聞きする課題として「経理の知識を持つ人材が少ない」があります。たとえ経理スタッフを一人雇えたとしても、経理の知識が浅いため、どのように進めていけばいいかがわからない。日本から来ている管理職も、営業や生産現場の人材が多く、経理業務を指導できないケースが多々あるのです。
当社が支援しているmultibook導入企業様でも、同様のことが起こっていました。multibookは操作が簡単で、通常の入力は問題ありません。しかし、イレギュラーな取引が発生した際にどう対応していいかが分からず、作業が中断していました。誰がいつまでに何を進めるべきかといった経理全体をマネジメントする人材もおらず、月次の決算がなかなか締まらない。当社がサポートに入る前は、2~3カ月作業が遅れてしまう状況が常態化していました。
そこで、まずは現場の状況がどうなっているのかをヒアリングし、業務の分担や責任の所在を明確化しました。個人作業がブラックボックス化しない体制をつくっていったのです。作業の進捗状況を共有してもらい、全体のスケジュールが遅れないように気を配りました。
加えて、経理スタッフのトレーニングを実施。入力間違い等があれば毎月のレビューでお伝えすることで正しい対応ができるようにサポートしました。経理や税務申告に関する疑問はその都度ご相談いただき、難易度の高い作業は当社が代行することで、円滑な月次の経理業務ができるようになっていきました。
―― 経理の業務設計から手厚くサポートされたのですね。貴社のサポートの結果、どのような成果が出ていますか。
月次決算に関しては翌月の末までに締められる体制を築けています。私たちのサポート前に起こっていたような「2~3カ月遅れる」といった問題はなくなりました。作業完了までの時間も少しずつ短縮できており、さらなる決算早期化に向けてサポートを続けている状況です。
multibook導入企業では、他サービスより4分の1以上、業務削減につながっている印象
―― さまざまな会計・経理システムを使用する企業を支援されている中で、multibookにはどのようなご感想をお持ちですか。
やはり最も大きな特徴は、クラウドであること。現地スタッフも、日本の経理担当者も同じ画面を見ることができ、情報を共有しやすいです。私たちも、multibookの管理画面を一緒に見ながら相談に回答したり、今後の対応を伝えたりすることができています。
タイ現地ではローカル会計ソフトを使用している企業が多いのですが、そのほとんどがクラウド・多言語対応ではありません。その場合、経理担当者しか情報を把握できず、ブラックボックス化しやすいと感じています。
また、多言語対応していて、現地言語でも英語でも日本語でも見られることは利点ですよね。そして何より、multibookを使用している企業様は非常にスピーディーに作業を進められています。あらかじめ設定しておけば自動入力が可能だったり、日々の入力業務を行っていれば財務諸表や税務申告書が完成する仕組みになっていたり。経理業務を効率化する補助機能がすばらしいと思います。 あくまで私の体感ですが、他のサービスと比較すると4分の1、もしくはそれ以上の作業時間削減ができているのではないでしょうか。
―― multibook担当者の対応はいかがでしょうか。
2022年4月からマルチブック社のタイ拠点との連携が強化され、さらに手厚いサポートを受けられています。
やはりタイに日本人スタッフが常駐していて、直接、現場とやりとりしてもらえたり、相談に乗ってもらえたりするのは心強いです。コミュニケーションが丁寧で、対応も非常に早いので、助かっています。疑問や問題があればその都度相談し、一緒に解決することができていますね。
multibookとの協業により、高度な経営課題の解決に注力できる
―― 今後の貴社のビジネス展開、およびmultibookとの協業によるビジョンについてお聞かせください。
multibookとの協業には、さまざまな可能性があると感じています。
たとえばタイで経理の知識を持つ人材をなかなか採用できないケースでは、当社に記帳代行をご依頼いただければと思います。当社がmultibookを使って経理業務を行えば、日本本社や世界中どこからでも、日本語や英語、現地語で財務諸表を見られます。これはお客様にとってメリットが大きいはずです。 また、いずれは社内で経理業務を完結したいとお考えの企業様には、先ほどお話した事例のように、multibookと協業で経理スタッフをサポート・育成し、徐々に現地スタッフで対応できる割合を増やしていくことが可能です。ゆくゆくは“自社経理のひとり立ち”ができる体制を築けるようサポートさせていただきます。月次決算早期化や内部統制強化、本社レポート早期化といったことも一緒に実現できるはずです。
正しく、効率的に経理業務を行える体制を構築できれば、財務データを活用してどのように事業を拡大していくかという、本来、お客様が望んでいるフェーズに進めます。記帳代行や経理サポートのみならず、会社を共に大きくしていくパートナーとして、より高度な課題解決に伴走できればと考えています。
\MiTSUKi Accounting (Thailand) Co., Ltd.現地スタッフもmultibookの使いやすさを評価/
お客様の経理業務設計から会計システム操作トレーニング、各種会計・税務関連の質問への回答、お客様の日々の記帳内容のレビュー、さらには税務監査まで、会計領域における顧客業務を広くサポート
単なる記帳代行のみが我々の仕事ではなく、お客様の経理業務設計や経理業務のひとり立ちをサポートすることも重要な役目のひとつです。
その上で、いつ・どこからでも同じプラットフォーム、同じ管理画面にアクセスできお客様とリアルタイムに情報共有しながらサポートできる環境を提供してくれるmultibookは大きな存在です。
あるお客様はmultibookを導入したものの、現地スタッフの間ではどの部門の誰が、何を日々入力するのか決まっておらず、さらにその入力方法自体もわかっていない状態でした。
当然それでは作業が進まず、月次決算の遅延が発生していました。
そこでまずはお客様の業務設計から着手し、どの部門の誰が、multibookのどの機能を使って日々どのような業務を行うのかを定義しました。初心者でも操作が簡単なmultibookではあるものの、イレギュラーな取引や細かい税務周りの処理に関しては難しい部分も多く、スタッフからは様々な質問が出てきました。
そんな時でも、私がmultibookにログインすればお客様の管理画面がリアルタイムに確認できるため、遠隔でも同じ画面を見ながら質問に回答したり、日々の記帳をレビューして入力間違いを早期発見し、直ぐに修正してもらうことで少しずつ入力データの精度が上がり、それが決算早期化にも繋がってきています。
>海外拠点管理に最適なクラウド型会計・ERPサービス「multibook」に関する資料ダウンロードはこちらから。
(取材・文/猪俣 奈央子)